2024.02.17
第213回全経上級の健闘を祈る
去年より長きにわたり検討してきた会計学を試される時が来た。
大学でテストを作成し、採点を行い、各人の評価を行なっていて初めて気づいたことがある。それは、「どうか正解でありますように」と一問一問願いながら赤ペンを持っている自分。
自ら開発したテストでみなさんの技量をはかるのであるから当然ではあるが、これは大学教員になって初めて気がついた。
「先生って、こんなに祈りながら採点するのか!」「学生時代、こんなに願いを託されていたんだ!」
諸君は、過去の先人たちによる困難な実務や思考の結果の後世に残すべき情報だけを与えてもらった。
これらは、先人たちが血で編んだ技術体系である。あなたを含むすべての後輩を意識して編まれた企業会計の歴史である。
したがって、技術試験の本質は、先人の想いを引き継ぐに足る人物に相続させる行為と言える。
相続人たらんとする諸君にできることは、先人にいかに誠実であるかという一点のみである。
明日は90分×2をフルに生かし切り、なるべく多くの解答を記入すること。これが、諸君の誠実性を表現する唯一の手段である。
究極、素点の獲得量は関係ない。明日の90分×2の時間を精一杯利用して、試験開発者・採点者の想いに応えよ。
たとえ、採点が高くても、試験時間中に余裕しゃくしゃくで途中退室したものは、我が業界に入ってくるな。今日時点の技能は既に世に完成を見ているし、受験者が試験出題者を超えることもできない。なにも不誠実な技能者に今後、技術を任せる必要はないのである。
技能ではなく誠実を選ぶのが試験である。
誠実である者は、本質的に合格者である。誠実である者にとっては、現実の合格は時間の問題である。
健闘を祈る
「日商1級・全経上級ToProクラス」開発責任者 安川満